[書評] 思わず一気読み!究極の大どんでん返しミステリー『彼女の血が溶けてゆく』浦賀 和宏

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浦賀 和宏という作家を知っているだろうか。

浦賀 和宏
1978年神奈川県生まれ。98年に「記憶の果て」で第五回メフィスト賞を受賞しデビュー


ミステリー系の作品はそれなりに読んでいるが、この作品を手に取った時点では全く知らない作家だった。

まず先に結論を言おう。

新作『彼女の血が溶けてゆく』は、ミステリー好きなら絶対に読むべきだ。いや、ミステリー好きでなくても読むべきである。

読み始めた途端、主人公の人間的な魅力にはまり、次々に明らかになる驚きの真実に引きこまれ、最後は予想もしない大どんでん返しが待ち受けている。

その魅力の一部を紹介しよう。キーワードは登場するが、ネタバレはないので、安心して続きを読んで頂きたい。




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元妻が引き起こした医療ミスの真相に迫る


まずはあらすじを紹介しよう。amazonの情報を引用する。

原因不明の突然死。彼女に死をもたらしたのは、
医療ミスか、それとも未知の病か?

ライター・銀次郎は、元妻・聡美が引き起こした医療ミス事件の真相を探ることに。患者の女性は、自然と血が溶ける溶血を発症、治療の甲斐なく原因不明のまま死亡する。死因を探るうちに次々と明かされる、驚きの真実と張り巡らされた罠。はたして銀次郎は人々の深層心理に隠された真相にたどり着けるのか。


主人公の桑原銀次郎は元証券会社のトップ営業マン。

しかし、ある時、銀次郎の顧客に認知症を患った男性がいたことが問題視され、会社を辞め、そして、最愛の聡美とも離婚することになってしまう。

一方、元妻の聡美は優秀な血液内科医。

彼女が担当した患者の綿貫愛は、脾臓摘出手術後、その副作用とされる血栓症で命を落としてしまう。綿貫愛の夫は、医療ミスがあったのではないかと病院を訴え、聡美も休職中の身となってしまった。

世間が病院や聡美を責め立てる中、表向きは仕事、その裏には元妻への未練や復縁の期待を胸に秘めながら、銀次郎は取材に挑むことになる。


キーワードは若年性アルツハイマー


このようにテーマの中心にあるのは医療の問題である。

ただし、全く医療知識のない銀次郎が主人公ということもあり、専門知識も非常にわかりやすく解説されている。決して難しい内容ではない。

登場人物はこの他にも綿貫愛の夫、義理の父、両親、小学校時代の同級生などが登場する。それぞれの人物が明かす事実がストーリーを意外な方向へと導いていく。その過程で登場するキーワードが「若年性アルツハイマー」だ。

意外と知らない若年性アルツハイマー病 – goo ヘルスケア

若年性アルツハイマー病とは、40代から65歳までに発症するアルツハイマー病。老年性のように誰もがかかる可能性がある病気ではありません。若年性アルツハイマー病の原因は、遺伝によるものがほとんど。ごく大まかにいって、アルツハイマー病の原因となる遺伝子に異常がある人は、40代でも発病する可能性があるのです。


この「若年性アルツハイマー」というキーワード。

私自身、言葉は知っていたものの、詳しい症状や原因は本書を読んで初めて知ったといっても良い。

あなたは原因のほとんどが遺伝によるものだということを知っているだろうか。

この事実が真相に迫る重要な鍵となる。


被害者はなぜ死ななければならなかったのか


被害者の綿貫愛は、職場の健康診断で指摘を受け、聡美が務める小山田総合病院で診察を受けることになった。

もともとは貧血のような軽い症状だったが、症状が改善せず、脾臓の摘出手術を受けることになった。もちろん、本人と同意の上でである。

医者である聡美が言うには、このように術後症状が悪化し、死に至るというケースはまず考えられないそうだ。

綿貫愛は処方された薬を指示通りに飲まなかったのではないか。
綿貫愛は聡美に何かを隠していたのではないか。
もしそうであるならば、綿貫愛はなぜそのような行動をとったのか。


序盤は謎だらけであった綿貫愛という女性の人生が次第に明らかになり、やがて銀次郎は真実にたどり着く。


大どんでん返しにうなること間違いなし


結末は誰もが予想できない大どんでん返しだ。

銀次郎は聡美の無実を証明することができるのか。そして、銀次郎と聡美の関係はどうなるのか。

張り巡らされた数々の伏線が見事に繋がっていく。全430ページの構成に全く無駄がない。

中断することを許さないその展開はまさにジェットコースター的な作品だった。



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